再チャレンジを訴える前に、まず国は企業体質の改善を進めろ！ [ 格差社会・経団連 ]

国がフリーターの正社員雇用政策（再チャレンジ政策）をやっても失敗する気がする。失敗というか、あまり成果は上げない気がする。

11月28日のテレ東のWBSを見てたら、企業側は「一時的に金を貰っても、最終的に企業側が責任を取らなければいけない」と不満（懐疑？）を抱いているらしい。

企業は非正規社員のことを人間としていかに見ていないか、お荷物程度にしか見ていないか、そして、いかに奴隷として労働をもっと搾取してやろうかという魂胆が見透けてくる。雇用しても使える人材に育てていこうという意思が全く見られない。まるでモノ扱いである。そして、企業側がどんな努力をしても、身にならない連中ばかりだろうと決めつけているどころか、蔑視に近い差別とまでは言えないかも知れないが、侮蔑をもって見ている。

できれば、処女（新卒）がヨロしいのだろう。自分色（企業色）に染めたいと思い込むのは、日本人独特の民族性だ。新卒以外は、どうしても即戦力（手練れの風俗嬢）が欲しいのだろう。つまり、企業側としては人材を育てる意思は全くない、誰か勝手に育ててくださいよ、そうすれば雇用してやりますから、という具合に何としても『金』が欲しいのである。

ブタエモン然り、最近の企業体質は極めて無責任化している。生命保険や傷害保険が全く支払われないとか、消費者を騙して、金をふんだくれるだけふんだくり、後は知らんぷり。すごく刹那的な経営をしている印象。

だから、処女絶対主義が絶対正義であるという信仰がまかり通ってしまっているのだろう。いや、「蔓延っている」という表現を使った方が余程適切かも知れない。

そもそも非正規は駄目だと企業は言うが、派遣社員といった非正規社員・労働者は真面目に働くはずがない。何故なら、正規社員への道や門戸は開かれていないからだ。正規社員以上に働いても、正規社員にはなれない現状が、TVで何度も報道され、その現実を目にしている。必要以上に働いても、自分にとっては何のメリットもない事実を熟知している。ましてや正規社員は将来使える人材となるべく、それなりの技能や訓練を受けられるが、非正規社員の仕事は単純労働で、単なるその他雑務をこなすだけ。会社から何の技能を教えられず、訓練も受けられない状態で、正規社員へと勝ち上がらなければならない。つまり、元々、非正規社員になってしまったら負けなのだ。一度でも非正規雇用されてしまえば、正規雇用される可能性は低い。

NEET君の名言ではないが、会社・企業側は、非正規社員を将来使える人材になると期待していたら、最初から正規社員として雇用している。非正規社員・労働者は、その厳然たる現実を突きつけられている。企業側は非正規社員から正規社員への道を閉ざしている、少なくともそういう企業風土が根付いている現状がある。これではまともに働きたいと思えるはずもない。ますます非正規社員・労働者は、正規社員・労働者になれる可能性は低くなる。

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何と言っても、30歳で正社員になった人間の生涯賃金は、20歳で正社員になった人間の生涯賃金の約6割ぐらいらしい。これでは働く意欲もなくなるだろう。たかだか10年の違いで、これだけも賃金の差が出てしまう。正規だろうが非正規だろうが、基本的に求められる働きに大して差はないのだ。他の正規社員と違い、何の将来も保証されていない身で、賃金も安いと来てるんだから、どこの馬鹿が奴隷のようにこき使われたいと思えるのか教えて欲しい。

最近では外国人研修制度を利用した、外国人を不当に安い低賃金で雇用するなど、企業は労働者を人とは見ていない。最低賃金以下で働かされている。11月29日放送のNHK『クローズアップ現代』を見たら、トイレに一回たっただけで罰金を取られている外国人もいたらしい。ただのモノとしか見ていない、搾取するばかりの相手に対して、何を尽くせばいいのか、信用すればいいのか誰か教えて欲しい。

ましてや、去年2005年は過去最高の8万に余りが日本に来たらしい。しかしながら、その内の数万人は所在が不明なのだ。その数万人は日本で今、不法就労している。今の企業は、何の社会貢献をしないばかりか、治安悪化の根源すら生んでいる。現実問題として、日本の企業側は海外のブローカーと手を繋いで、偽造パスポートを利用し何度も日本に研修生として渡ってきていた。法律では一度しか日本に来てはならないことになっている。また今年8月には外国人研修制度を利用し、日本に来たが、不当に安い賃金で働かされていた中国人が、殺人事件まで起こしている。今後も同じような事件は多発するだろう。

しかし、何もこれは外国人だけに限った話ではない。企業側は何の戦略もなく、ただ労働者を搾取しているだけだ。これは今の日本人の非正規雇用も全く同じである。

そして、その非正規社員の仕事を正規社員に一方的に押しやられている現実も一方ではある。企業側は、その正規社員を奴隷として搾れるだけ搾ろうとしているのが、経団連が主張している『ホワイトカラー・エグゼンプション』なのである。この法案が国会で通過してしまえば、今以上に過労死が急増するが、企業側には何のお咎めもなし。非正規雇用が増えないと、正規雇用に全てしわ寄せが来るだけではなく、究極的には『死』が待っている。ましてや過度な労働を押しつけられ、仕事の能率はそれまで以上に低下する。結果、低賃金労働者を求め続けた企業も自滅する。

企業側が正規雇用が増やさない背景では、そういう悪循環も生まれつつある。奴隷のスパイラル。日本が落ちぶれていくのは、最早宿命に近い物がありますね。どんどんと昔へ退行していっている。ブタエモンや村上を筆頭に、企業倫理は地に落ちてきている。

政府は再チャレンジを訴える前に、まず根源的なそれを改善しなければならないだろう。


しかしながら、こういうアフォらしい企業側とも、ある程度の折り合いは付けていかなければいけないのも事実かも知れない。

企業側が宣うように、やはりそれ相応の能力も必要ではあろうという意見にも一理あると思う。ただ人材が枯渇していると叫んでいる企業こそが、積極的に雇用して、責任を持って育てるべきだ。何せ企業側は、業績は好調で、人材は枯渇していると宣っているのだ。積極的にフリーターを雇用しなければ矛楯する。これをどう好意的に解釈すればいいのか分からなくなる。法人税を減免してくれと政府に対して懇願するのであれば、人材を育成するための機関の設立なんかを懇願した方が余程賢明だし、理路整然としている。

問題がそこでふて寝している訳だから、そこに何らかの楔を打たなければとも思う。

例えば、専門学校や大学に、無条件で年長フリーターを受け入れて貰い、そこで正社員として通用するように鍛えて貰うそして、企業側に正社員として雇用されれば、一人1000万円の報酬・援助。正社員として雇用された社員側からは、1年間給料の5％報酬として頂くとか、そういう制度を国として作る。まあ学校とかではなくても、人材派遣会社ならぬ人材育成会社とかの企業でもいいけど。

ただこれでは簡単に国を騙せる。企業側がつるんで、国から金をせしめる輩は出てきそう。企業側がつるまなくても、学校側が架空の会社を起業して、そこへ云々という可能性も否定できない。輸入豚肉を虚偽申告して、税金を支払わなかった豚肉業者がいたり、国産牛肉の買い上げ制度を悪用して、暴利を貪っていた浅田がいた。そういえば、こいつと現・農林水産相の松岡が絡んでいたとかいないとか…。


何を言いたいかと言えば、国が一時的に金を補助しても、目に見えて雇用環境が変化はしないと思うということ。今の企業は保守的な馬鹿になってるから、目の前に餌を吊すだけではなかなか飛びつかないと思うということ。

そして、国はもっと企業は非正規雇用を積極的に雇用できないような法律に改正すべき。そうでなければ、根本的には何も変わらない。金を出すことよりも、法律とか制度を変えなければ駄目だと思う。金はちょっとパフォーマンス的な要素も垣間見えてしまう。

雇用されれば、それで万事解決なのかという話。継続して安定して、雇用され続かなければ意味がない。それも過酷な外国人研修生の例や、過労自殺・過労死する環境ではあってならない。もっと長い目で見なければ駄目だと思う。長期的な戦略がなければ、再チャレンジはすぐ頓挫してしまいそうな危惧がある。