国連安保理、北朝鮮制裁決議採択、日本は北朝鮮船舶の「臨検」は可能か？ [ 海外（極東アジア） ]

北朝鮮核実験実施について、国連安全保障理事会は日本時間14日深夜、制裁決議案を全会一致で採択された。ちょうど眠たい目を擦りながら『24』を見ていたら、テロップとしてこの一報が流れた。核実験失敗したと言われてたから、軍事的制裁に固執せず、さっさと経済制裁のみでいいから採択しろよと思ってたので、「あーやっとか」と微妙な気持ちだった。そういえば、議長国は日本だったらしい。何をぐずぐずやってたのかと感じたのと同時に、存在感がなかったなと改めて思った。

制裁の内容は、国連憲章第7章41条に基づき、北朝鮮の核・弾道ミサイル計画に従事していると認められた個人や団体の金融資産凍結など軍事的制裁は行わない、経済的制裁の措置が定められた。当初は軍事的制裁を含む42条に基づき、強制的に行う貨物検査（臨検）を可能とするアメリカの案であったが、中露が軍事的制裁については強く反対していたため、採択自体が延期されていた。しかし、その中露に譲歩する形で、臨検は「各国の判断で必要があれば」という表現が弱められて今回採択された。国連が全会一致で北朝鮮に抗議をする事が最優先だと、各国が判断した結果だろう。まあ、これもメディアやある程度の世論は予想してた範疇ではないだろうか。驚くことも何もない。


しかし採択された直後、北朝鮮の国連大使のパク・キルヨンは、「核実験は、我が祖国のための戦争抑止力を強化するためだ」と採択に強く反対する声明を出した。その後、「これ以上圧力を強化するなら宣戦布告とみなし、物理的対抗措置を取り続ける」と各国の制裁に対する強い警告を出し、席を立って退席した。

この光景を見て、松岡洋右が国連から脱退声明を出したそれとダブった国民も多かろう。それは日中戦争の契機となった満州事変の調査をしたリットン調査団が出した報告に強く抗議した行動だった。そして日本は孤立した。

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その後、日本はABCD包囲網によって経済封鎖され、太平洋戦争に突入した。馬鹿な政治家共のせいで、多くの日本国民は疲弊し、犠牲となった。北朝鮮も同じ轍を踏みはしないか、血迷いはしないか、海を隔てた他国、他民族ながらちょっと心配している日本人も多かろう。


そして、その最たる懸念が先述もした「臨検」である。

「臨検」とは国連海洋法条約上、他国の船舶に対して強制的に停船を命じ、船舶の内部に立ち入り検査することである。主に公海上で暗躍する海賊船対策などにやられる。強制的に停戦を命じるため、相手船舶から攻撃を受けることもしばしば。だから、軍艦などによる立ち入り検査が一般的である。集団的自衛権などと同じく、国際的に認められた権利の一つである。今年8月、北方領土沖で日本の漁船が露西亜の軍艦に襲撃された。そして、尊い日本人の命が奪われた。考えてみるとこれも臨検なのかも知れない。散々、メディアや新聞で取り沙汰されてるので、今更である。

しかしながら、日本ではそれを可能にするための国内法が整備されていない。だから日本の場合、相手船舶に乗り込む場合は船長の承諾がなければ乗り込めないし、承諾してくれなければ、その船舶を追いかけてってとにかく説得を続けるしかなく、全く強制力に乏しいのが現状だ。

そして憲法の制約上、米軍が北朝鮮船舶に対する「臨検」を行った結果、武力衝突に発展した場合、日本は米軍に荷担できない。まあ常識的に考えて米軍がたかが一北朝鮮船舶に負けるはずもないし、日本が敢えて米軍の「臨検」に迷子の子供みたいに付いていく必要もないと思うが、日本周辺での話なのだから少し過敏すぎる気がする。

別にこれは北朝鮮に限った話ではない。対馬沖やその他日本の海域で武装した韓国・中国。台湾漁船など、半ば海賊的な行為をしている輩が居る。そういう海賊船・不審船を取り締まるためにも、やはりちゃんとした法整備は必要かも知れない。ただ他国の軍艦への後方支援なども考えた方がいいのかも知れないが、あくまで日本周辺に限った話だ。

自民党内の一部では、船舶の立ち入り検査を強制的に出来るように新しく特別措置法を制定することを主張する輩共がいるらしい。確かに、使える軍隊があるのに有効に使わないというのは、正直無駄以外の何者でもない。だが周辺事態法を根本的に改めてしまった方が、個人的には良い気がする。


でも無理だろうな。時間が何より足りないし、野党を説得できるだけの理論武装は自民党にあるとも思えない。ましてや格差・貧困といった内政問題が山積みである。今日のフジテレビのテレビ番組で麻生は、日本は北朝鮮に対して臨検が可能だと宣っているが、それは可能でもあくまで後方支援のみ。日本が独自で臨検することは不可能に近いだろう。将来的に可能であっても、国連決議が採択されたからと言って今すぐには無理だろう。

それに麻生のように、何事も米軍ありきで進むのは不信感を抱かざるを得ない。気に食わない。要は、典型的な思考停止の証左。アメリカのやることは全て正しいんだみたいに、言いなり。ましてや法律を無理矢理拡大解釈をしてまで、意地や無理を通すのは頂けない。ましてや他国の言いなりになってなんて論外である。日本は法治国家なのだから、法律を守るのが政治家の義務。「自分たちの意地を通すためだったら、法律を破ってもいい」と考えるのは、自民党の悪い癖。横柄にも程がある。自民党の行動が、もちろん全て正しいということは有り得ない。当然、国民が全面的に支持する謂われはない訳だ。

神奈川16区の衆院補選で、北朝鮮の制裁決議採択された同日の15日、安部晋三は伊勢原市役所の駐車場を無断で占拠して、応援演説をしていて非難されたばかりである。自民党は無法者の節が多分にある。消費者金融業者から多額の献金を貰っていたり、農水相の松岡などは犯罪団体からこれまた多額の献金を受け取っていながら報告しなかった。しかも、タレントばかり擁立し、無能ばかりしか集まっていない。だから、自民党は情けないダサい駄目な政党だと思われているんだ。…衆院補選のことはひとまず置いとく。


少なくとも戦争が出来る状態にしたいのであれば、ちゃんとそうしたいとハッキリ断言すべきである。自民党はおめおめと国民の前から逃げては駄目だろう。消費税増税にしろ、どうしてこうも自民党は問題から目を背け、逃げ回るのだろうか。これでは国民は何の期待も持てない。

まあちゃんと計画や戦略を考えて、北朝鮮にあれこれ制裁してるんであれば、別にいいんだけどね…。アメリカみたいに核を放棄すれば金銭的な援助をするとか、北朝鮮を誘い込むための道を作ってあげてれば意味はあるんだろうけど。日本はアメリカの陰に隠れて、北朝鮮に相手にされてない気がしてならない。RENKのイヨンファが『たかじんのそこまで言って委員会』で、超強硬の措置を執ることで、日本がその超強硬的措置を止めれば、存外な譲歩に見える、と宣っていた。でも、今回の採択で、最大の貿易相手の中国ですら経済制裁をしている中で、第4位だか5位の日本が超強硬的措置を執ったと言っても、どれほどの効果があるのかなと。ましてや、日本は拉致問題も抱えてるわけで…

取り敢えず、ちゃんと自民党は今ある法律を守ってほしい。自民党は内政ではごたごた汚いことばかりしか起こしてないけど、無法者を責めるなら、最低限、自分が無法者に成り下がってては説得力がありませんよ。無法者を責めるなら、国民は自民党が何をしても許して貰えると思ったら大間違い。イラク戦争にしろ、基本的に自民党がやることに信頼を持てない国民は少なくないのだから。「無茶をすることが格好いい」なんて、どこの幼稚な餓鬼の発想なんですかと少し呆れてしまう。